2024年4月、大谷研6年目の春です!
昨年度は日本での大きな国際学会(ICAR2023)の開催があり、また交換留学生やインターンシップの学生さんが世界中からやってくるなど、一気に国際交流が活発化した一年でした。また年度末には5人の学生が元気に巣立っていき、さみしさもありますが学生達の成長に頼もしさを感じる一年でもありました。
2024年度も、国内外から新しいメンバー(修士学生、博士研究員、新たな交換留学生など)が加入予定です。
一層の研究活動に励みます!
私たちは「植物がどのように環境条件を捉え、応答し、細胞の増殖や分化の柔軟な制御を通して、動的な個体統御をなしえているのか?」を分子レベルで明らかにし、システムとして生命機能を理解することを目指して、日々研究しています。
2023年6月1日
荒江博士がArae et al. (2022) DGD 64 (1), 5-15 の論文に関して、2023年度のYoung Investigator Paper Award (DGD 奨励賞)(日本発生生物学会)を受賞しました!おめでとうございます。
https://www.jsdb.jp/about_awards.html
2024. 8. 2. 論文がアクセプトされました
東京大、奈良先端大、マックスプランク植物育種学研究所の共同研究で、道管機能制御におけるタンパク質ユビキチン化の重要性を明らかにした研究です。トランスクリプトーム、プロテオーム、ユビキトーム解析によって道管細胞分化におけるユビキチン化ダイナミクスを詳細に記述した他、多くのユビキチン化ターゲットタンパク質を新たに同定しました。とくに道管細胞分化マスター制御因子であるシロイヌナズナVND7の転写活性化機能が、特定のリシン残基のユビキチン化で制御されていることを発見しました。これらの成果から、植物が水輸送組織である道管の機能がタンパク質修飾制御を介して柔軟に制御されているという新たなモデルが導かれます。
本論文は奈良先端大の博士課程学生だったPawittra Poolaewさんと、東大新領域の博士課程学生であるMa Yaさんによる博士論文研究の一部が結実したものです。おめでとうございます!
プレスリリースを行いました。詳細は以下から
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/11080.html
2024. 6. 28. 高柳なつさん(D3)が優秀発表賞を受賞しました
2024年6月26-28日に行われた第25回日本RNA学会年会において、D3の高柳なつさんが優秀発表賞(年会特別賞)を受賞しました。おめでとうございます!
2024年3月21日
学位記授与式および論文賞受賞式
5名の学生が修士号を取得し無事に学位記が授与されました。さらに同時に行われた各賞受賞式では、本ラボの2名の学生に修士論文特別奨励賞が授与されました。
卒業するM2たちは仲良しの5名でした。全員で高め合いながら駆け抜けることができた2年間だったのではないかと思います。ここでの経験を活かして、大きく羽ばたいてください。みんなの幸せを祈ります!
2024. 2. 9. Ma Ya さん (D1) と鳥塚研吾さん(M2)が
2023年度先端生命科学専攻 修士論文特別奨励賞を受賞しました!
2023年度先端生命科学専攻の修士論文審査会の結果、Ma Yaさんと鳥塚研吾さんが修士論文特別奨励賞を受賞しました。同じラボから2人同時受賞は専攻でも初めてのことのようです。がんばった成果が評価されて良かったですね。
鳥塚さんは修論発表討論会でも優秀賞を受賞しました。おめでとうございます!
https://www.ib.k.u-tokyo.ac.jp/campus_life/master_runnersup.html
2024. 1. 22. 論文がアクセプトされました
筑波大、東京大、奈良先端大、理研の共同研究で、シロイヌナズナのストレス応答鍵院試であるSRK2遺伝子を過剰発現したポプラを特定網室で栽培しその効果を調べた研究です。このプロジェクトも息が長いプロジェクトとなり、とくに小口先生の尽力によってやっと形質転換ポプラを真に生物学的に意味のある形で形質評価(野外/特定網室での評価)できました。みなさま、ありがとうございます&お疲れ様でした!
2023. 10. 24. 鳥塚研吾さん(M2)が優秀発表賞を受賞しました
2023年10月22-24日に行われた第17回細胞壁研究者ネットワークにて、M2の鳥塚研吾さんが優秀発表賞を受賞しました。おめでとうございます!
2023. 10. 14. 論文がアクセプトされました
東京大、奈良先端大、神戸大の共同研究で、道管細胞分化誘導系を導入したシロイヌナズナ培養細胞を材料としたメタボロームおよびトランスクリプトーム解析を行いました。とくに13Cラベルした糖源を加えたフロー解析により、道管細胞分化時には一次代謝経路が一部シャットダウンされて炭素が二次壁ポリマー生合成へと流れていく様子を世界で初めて可視化しました。第一著者のUyさんは奈良先端大の、山本さんは東京大の、博士課程の学生さんです(Uyさんは卒業済み)。博士論文研究(の一部)を改めて投稿論文としてまとめることができて、本当によかったです。Uyさん、山本さん、おめでとうございます!
2023. 8. 18. 論文がアクセプトされました
埼玉大、奈良先端大、東大、Umeå大、産総研の共同研究で、シロイヌナズナNAC転写因子VNI2/ATAF2複合体の生理的役割に関する論文です。今回、VNI2/ATAF2複合体が葉の老化を制御することを明らかにすることができました。VNI2は道管細胞分化にとっても大変重要な働きをする転写抑制因子です。その多面的な役割が明らかになることで、植物がどのように全身的な生理機能を統合させているのか、垣間見ることができました。みなさま、お疲れ様でした。
2023. 6. 5.-9. ICAR2023@千葉幕張、大いに盛り上がりました
第33回国際シロイヌナズナ研究会議(ICAR2023)に発表参加しました。Session Chairとして台湾のAcademia SinicaのMing-Jung Liu博士とともに「Hidden Messages of RNAs for Environmental Response」を企画・開催しまし、またOrganizing Committeeの一員として各種お手伝いを行いました。
大谷研からは、4人の学生が発表参加しました(全員にとって、初めての国際学会でした)!
セッションにはオンサイト・オンラインから最先端の素晴らしい発表が集まり、また久しぶりの植物RNA研究仲間と対面で再会できました。RNAのプロセシング、構造、分解など、RNA分子そのものに関する多面的な制御機構について有意義なディスカッションができました。
2022. 11.19.-20. 国際シンポジウムを奈良で開催しました
International symposium on "Plant-Structure-Optimization"
新学術領域研究「植物構造オプト」の成果を国際的にシェアすることを目的に、奈良で国際シンポジウムを開催しました(大谷はオーガナイザー・スピーカーとして参加しました)。成果発表に加えて、多くの国際スピーカーからの話題提供および意見交換を行うことができ、シンポジウムは大盛況のもと幕を閉じました。
みなさまありがとうございました。
Plant & Cell Physiology 誌 2021年12月号
特集号「The Biomechanics of Plant Cell Walls」
大谷がEditorとして編集に参加した特集号「The Biomechanics of Plant Cell Walls」がPlant & Cell Physiology 2021年12月号として発行されました。当ラボと関係する原著論文が含まれております。そのほか植物細胞壁研究の最新の動きを概観した特集号になっておりますので、ぜひご一読ください。
Plant Biotechnology 誌 2020年12月号
特集号「Strategies of mechanical optimization in plants」
大谷がEditorとして編集に参加した特集号「Approaches for strageies of mechanical optimization in plants」がPlant Biotechnology 2020年12月号として発行されました。参画中の新学術領域研究「植物構造オプト」で得られた成果(さまざまな測定・解析技術)が詰め込まれた特集号になっておりますので、ぜひご一読ください。
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/plantbiotechnology/37/4/_contents/-char/en
Plant & Cell Physiology 誌 2019年9月号
特集号「RNA-mediated Plant Behaviour」
大谷がEditorとして編集に参加した特集号「RNA-mediated Plant Behaviour」がPlant & Cell Physiology 2019年9月号として発行されました。表紙の一部は、我々の論文 Chiam et al. (2019) からです。
当ラボと関係する1本の総説論文、2本の原著論文が含まれております。そのほか植物RNA研究の最新の動きを概観した特集号になっておりますので、ぜひご一読ください。
植物細胞の特徴のひとつとして、分化全能性が挙げられます。分化全能性は例えば器官再生として顕在化しますが、器官再生は通常時の発生プログラムの流用によることが分かってきています。
私たちはこれまでに、発生プログラムの柔軟な運用を支える基盤としてのRNA代謝の重要性を提唱しています。こうしたRNA代謝研究を深化させ、植物細胞の増殖能・分化能を制御する分子機構の詳細解析、さらには効率的なクローン増殖技術の開発を進めます。
移動性の低い植物は、生育場所の環境要因(温度、光、栄養など)の変化に常に応答し、生命機能の恒常性を維持していると考えられます。
本研究室では、遺伝子発現制御の要であるRNAや、外的環境に対する最初のバリアーである植物細胞壁に注目し、植物環境応答におけるこれらバイオポリマー(RNAや細胞壁ポリマー)の代謝制御の役割を明らかにします。こうしたバイオポリマーの改変による環境応答の人工制御も将来的課題の一つです。
近年の環境問題の深刻化は、私たちの社会活動の在り方の抜本的見直しを強く要求しています。持続可能な社会システムの構築の鍵として期待されているのが、木質バイオマス(木化した二次細胞壁に含まれる細胞壁ポリマー)です。
木質バイオマス利活用性向上を目指して、本研究室では、比較・トランスオミクス解析による二次細胞壁生合成のシステムとしての理解や、二次細胞壁の進化的起源の探求を推し進め、新たな分子育種ターゲットを見出します。